もついているのであります。この前方の三角形は、実は円錐形《えんすいけい》の廻転錐《かいてんきり》を横から見たところでありまして、これが廻転するのであります。自分の最も苦心しましたところは、この回転錐であります」
「ほう、ここを苦心したか。どういう具合に苦心したのか」
「はい」
 と岡部はいったが、まさか夢に見たもぐらの話をするわけにもいかないので、
「……ええ、要するに、この円錐形の廻転錐はふかく土に喰《く》い入《い》り、土をけずりながら、車体を前進させます」
「なるほど、ぎりぎりと、ふかく喰《く》いこみそうだな。車体が、大根の尻尾のように、完全な流線型《りゅうせんがた》になっているようだが、これはどうしたのか」
「はい。これは、錐のためけずりとられた土が車体のまわりを滑《すべ》って後方へ送られますが、送られやすいためであります」
「そうなるかなあ」
 と、少佐は、首をひねった。
「少佐どの。けずられた土は、どんどん後方へ送られますが、そこに或る程度の真空が出来ます。ために、土は、とぶようにますます後方へ送り出されると考えます」
「ふむ。これだけかね。ほかに何か、附属品はつかないのか」
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