投書が廻ってきたよ。民間にも、地下戦車をつくることに熱心な者があると見えて、これを見よ、田方松造《たがたまつぞう》という少年から、地下戦車の設計図を送ってよこした。よく見て参考になるようだったら、使うがよろしい。」
「はい」
「こういう図面だが、どうじゃ、うまくいくと思うか」
 そういって、加瀬谷少佐は、封筒の中から一枚の紙をとりだして、それをひろげた。その紙面には、別記のような田方式《たがたしき》地下戦車〔第一図〕が描《えが》いてあった。
[#第一図(fig3234_01.png)入る]
 この戦車は、頭のところが、例のロータリー除雪車に似た廻転|鋸《のこぎり》になっていて、そのうしろに、車体があり、後方は流線型《りゅうせんがた》になっていた。そして車体には、小さな車輪が左右で十二個つき、なかなかいい恰好《かっこう》であった。
「どうだ、岡部。これは実現できるか、どうか。お前の意見は、どうか」
 加瀬谷少佐は、かさねて、岡部にたずねた。
「はい。これは、前進しないと思います」
「前進しない。なぜか」
「たとえば、これを山の中腹に突進させたといたします。なるほど、この廻転鋸がまわれば、
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