もぐら先生は、まぶしくて苦しくてたまらない。だから、命がけで、土を掘るのだった。
「これは十五円出した値うちがあったぞ。なかなか参考になる。これでもぐらが、象ぐらい大きかったら、本当の戦争に、もぐら隊をつかったかもしれないねえ。ふーん、かんしんした」
 一郎は、さかんに、かんしんしていたが、かくしから、帳面を出すと、もぐらの活動ぶりを写生しはじめた。


   設計命令下る


 話は、それから、急に五年先へとぶ。
 岡部一郎は、今やりっぱに成人して、ある機械化兵団《きかいかへいだん》の伍長《ごちょう》になっていた。
 これは、一郎が、少年戦車兵を志願して、めでたく入隊したことにより、この躍進の道が、ひらけたのであった。一郎は、まじめで、ねっしんだから、いつも、模範兵であった。
 選抜試験をうけると、そのたびに通過し、まだ年も若いのに、その冬には、伍長になった。
 今でも彼は、毎朝|営舎《えいしゃ》で目をさますと、まず真先《まっさき》に宮城《きゅうじょう》を遥拝《ようはい》し、それから「未来の地下戦車長、岡部一郎」と、手習《てなら》いをするのであった。演習にいっているときには、土のうえ
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