でいるではないか。中には、もう一メートルちかい穴を掘り、草原のうえに、土をもりあがらせているものさえいた。
「さあ、しめた。生きている地下戦車隊が、地下進撃をおこしたぞ」
 これから、いよいよ、もぐらのお手並拝見である。一郎は、懐中電灯をつけて、そっと、もぐらのそばによった。
 草原が、むくむくともりあがってくると、つづいて、くろい土があがってくる。下では、もぐら先生が、汗だくで、活動しているのであった。だが、中はよく見えない。
 そこで一郎は、もってきた杖のさきで、もぐらをおどかさないようにそっと土をどけた。すると月光と懐中電灯の光がもぐらの背をてらす。もぐら先生は、急に光をあびて、びっくり仰天《ぎょうてん》、大いそぎで、土の中にもぐりこむのであった。
「ああ、やっている、やっている」
 一郎はかんしんして、もぐらが、あわてふためいて土を掘るのを、のぞきこんだ。
「なるほどなあ。もぐら戦車は、はじめ、あの先のとがったかたい鼻で、土を掘りくずし、それから前脚をつかって、その土を、うしろへかき出す。なるほどねえ、上手なものだ。ふーん、かんしんしたぞ」
 一郎にほめられていることもしらず、
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