るだけのことをいった。一郎は、うなずいて、
「おじさんは、もぐらが土を掘っているところを、そばに立ってみていたことがあるの」
と、きいてみた。
「ばか、いわねえもんだ。土を掘るのは夜中だというのに。わしはな、こう見えても、夜中に、わざわざ土を掘るところを見にいくようなばかじゃねえぞ」
一郎は、それはばかではなくむしろかしこいのだと説明したが、お百姓さんには、それが一向に通じなかった。
そこで一郎は、自分は、もぐらが土を掘るところを見て、もぐら式の戦車をつくりたいからお百姓さんに、生きているもぐらを、できるだけたくさん、つかまえておいてもらいたい。もぐら一頭につき、五十銭ずつで買うからと頼みこんだ。
「ええ、それは本当かね。一頭につき、本当に五十銭だな」
お百姓さんは、きげんをなおして、にこにこ笑いだした。
もぐら一箱
もぐらがつかまったら、お百姓さんは、一郎のところへ、ハガキをくれることになっていた。
一郎は、生きているもぐらを買って、どうするつもりであろうか。
それから四五日たって、お百姓さんから、ハガキが来た。もぐらがたくさんとれたから、至急、買いに来て
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