。日本の国防力が、うんと強くなるにちがいない。だから僕は、きっと作りあげるのだ。地下戦車を!」
 岡部一郎は、そんな風に、いうのであった。
 それは、正《まさ》しく一郎のいうとおりであった。地下戦車とは、じつにすばらしい思いつきである。地下戦車が出来たら、そいつは、どんどん、地面の下を掘っていって、敵陣の真下に出るのであろう。そして、爆薬をそこに仕掛けるとか、或いは、めりめりと、敵の要塞《ようさい》のかべを破って、侵入する。さぞや敵は、胆《きも》をつぶすことであろう。たしかに、そいつは強力な兵器である。
 一郎の思いつきは、じつに、すばらしいのであるが、はたして、そんなものが出来るであろうか。こいつは、なかなかむつかしい問題である。
「そんなもの、出来やしないよ。だって、水の中や空気の中じゃないんだもの。地面を掘ってみても、すぐわかるけれど、土というものは、案外かたいものだよ」
 と、一郎の仲良しの松木亮二《まつきりょうじ》が、いったことである。
「そんなに、かんたんに、出来やしないよ。しかし、工夫すれば、きっと出来ると思うんだ。それに、地下戦車が日本にあれば、すてきじゃないか。どこの
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