は》れ瞼《まぶた》をもった眼を、苦しそうにあげて云った。一番隅っこに居た園部は、立って窓をカタカタと上げた。強い風が窓からサッと吹き流れてきた。
ちょうど其の時、卓子《テーブル》の一つが明いたので、帆村はその仲間に入れて貰って競技を始めた。その席は、例のお仲間の卓子を正面に見るようなところだったので、彼は牌《こま》を握る合間《あいま》合間に顔をあげて、星尾助教授の手の内を後からみたり、川丘みどりの真白な襟足《えりあし》のあたりを盗《ぬす》み視《み》して万更《まんざら》でない気持になっていた。
それから帆村は、だんだんと競技に引き入れられて行ったので、例のお仲間連中の行動を一から十まで観察するわけには行かなかったが、あとから考えると、次に述べるようなことが、気にならないこともなかった。
第一は、麻雀ガールの豊ちゃんが入ってきて、星尾助教授の背後《うしろ》によりかかり、永い間積極的な態度をとっていたこと、それに対して星尾は、すこし迷惑らしい態度をしているのを知っておかしかった。
第二は、松山がスポーツ好《ごの》みで、
「ええいッ」
と大声をあげて場に積んである麻雀牌《こま》をひっ
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