、ずいぶん骨を折ったよ。ホノルル号設計及び建造以上に、神経を使ったよ。まあようやくここまで持ってこられて、やれやれじゃ」
博士は、貰ったハバナ産の太い葉巻を口に啣《くわ》えて、うまそうに煙をたてる。
「金博士の御心労《ごしんろう》を謝する。で、そのホノルル号は、果して不沈軍艦であるかどうかということについて、余は如何なる証拠法《しょうこほう》によって、それを信用なし得るであろうか」
大統領は、例のねちねちした云い方で、金博士に追《せま》った。そのとき金博士は言下《げんか》に応えた。
「わけなしさ、そんなことは。どうか君の手許にのこっている主力艦があれば、それを引張りだして、どこからでもいいから、わしの持ってきたあのホノルル号を砲撃でも爆撃でも雷撃《らいげき》でもやってみたまえ。それでもし沈むようなことがあったら、わしは燻製となって、君の食卓の皿の上にのってもよろしい。さあ、遠慮《えんりょ》なく、沖合へ主力艦をくりだしたまえ」
博士は、磐石《ばんじゃく》の如き自信にみちていると見えた。
「大いによろしい」と大統領は口をとんがらかしていった。「では、余もこれから検分《けんぶん》のため
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