じき》の談《はなし》を伺《うかが》いたいのです。すばらしい探訪《たんぽう》ニュースに、やっと取りついたのですからな。さあ白状なさい」
「なにを白状しろというのか、困った新聞記者じゃ」
「いや私は、録音器持参の放送局員です。博士から一言うかがえばよろしい。あの赫々《かっかく》たる日本海軍のハワイ海戦と、それからあのマレイ沖海戦のことなんです」
「そんなことをわしに聞いて何になる。日本へいって聞いて来い。おお、ええ加減に離せ。わしは死にそうじゃ」
「死ぬ前に、一言《ひとこと》にして白状せられよ。つまり金博士よ。あの未曾有《みぞう》の超々大戦果《ちょうちょうだいせんか》こそ、金博士が日本軍に対し、博士の発明になる驚異《きょうい》兵器を融通《ゆうずう》されたる結果であろうという巷間《こうかん》の評判ですが、どうですそれに違いないと一言いってください」
「と、とんでもない」
と金博士は、珍らしく首筋まで赧《あか》くして首を振った。
「と、とんでもないことじゃ。あの大戦果は、わしには全然無関係じゃ。わしが力を貸した覚えはない」
「金博士、そんなにお隠《かく》しにならんでも……」
「莫迦《ばか》。
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