て下さいませんか」
と、長谷部大尉はまごころを面にあらわして、加賀大佐を説いた。
練習艦隊を即刻引きかえす!
場合によったら、直ちに飛行島を撃沈してしまう!
なんという大胆な考えだろう。
実に乱暴にも聞えるが、考えて考えぬいて、国のためによしときまったら、どんな思いきったことでも直ちに実行にうつさないではいられない長谷部大尉の性分としては、至極尤もなことに相違なかった。
艦長加賀大佐は、つと籐椅子から立った。そして事務机の方へ歩いていったが、机上に重ねられた同じ形の十枚ばかりの紙片を手にとると、引返してきた。
「長谷部大尉。これを読んで見たまえ」
「えっ?」
大尉には合点がゆかなかった。
その紙片は十数通の無線電信の受信紙であった。
大尉は一番上の受信紙の、片仮名文字の電文を口の中で読みくだした。
「ヒコートウノコージハオモイノホカハヤクデキアガルコトガワカッタタブン三シユウカンノノチトオモワレル。ホンジツ二〇インチノタイホウ八モンヲツンデイルコトヲハツケンシタ。カワカミ」
カワカミ――の四字を読んで、長谷部大尉は思わずあっと叫んだ。
消えた無電
「飛
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