もって飛行機の飛びだす方向と逆に動くのです。だから飛行甲板を走りきるまでには、甲板の長さの幾層倍かの長い滑走路を走ったと同じことになる。これだけ申せばもうお分かりのとおり、どんな重い重爆だって楽にとびだせますよ。どうです。驚いたでしょう、ハバノフさん」
ハバノフは、上着のポケットからハンカチをだして、しきりに額の汗をぬぐっている。
飛行島が、実は世界最大の超航空母艦だということがやっとのみこめて、肚の底からびっくりしているのであった。なんというたいへんなものを造った英国海軍であろう。
「まだ驚かすことがあるんだが、そいつはまあいずれ後のことにしましょう」
「えっ、まだ驚くことがあるんですか」
「あっはっはっはっ。この飛行島一隻がありさえすれば、極東のライオンも、だまってひっこむより仕方がないでしょう」と暗に、日本を押しかえす力があることをほのめかし、
「しかしこんな恐しい超航空母艦であることは、当分のうち絶対秘密にしておかねばなりません。もしも日本に知れるようなことがあれば、あの東洋の無茶者は、どんな乱暴をはたらくかしれない。だからこの飛行島では、ただ一人の日本人も使っていない。ハ
前へ
次へ
全258ページ中54ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング