おかしいというように、天井を向いて笑いだした。
「リット閣下、なにがおかしいのです。日本軍の爆撃隊が弱いとお思いですか。日中戦争において、英国艦艇は日本軍の作戦を大いに邪魔をした。あれは日本軍をみくびってであろうが、日本軍はそんなに弱くない。――」
「あっはっはっはっ」とリット少将はなおも腹をかかえて笑いつづけたが、そこで急に真面目な顔つきになって、
「いやたいへん失礼しました。笑うつもりじゃなかったが、どうもつい笑っちまった。そのわけは、すぐ分かります。ねえハバノフさん。貴下――や、貴下のお国では、この飛行島を一たいなんだと思っているのですか」
「えっ。それは分かっているじゃありませんか。飛行島というのは海中に作った飛行機の発着場なんでしょう。それにちがいありますまい」
「大きに、そのとおりです。誰でもそう思いますよ。日本の練習艦隊も、そう思って帰っていった。ところがです。わが飛行島は、そんな生やさしいものではない」
 そういってリット少将は、にやりと人のわるい笑を口辺にうかべた。
「ええっ、するとこの飛行島は、なんです」
「ねえハバノフさん。驚いてはいけませんよ。この飛行島は、ぼん
前へ 次へ
全258ページ中52ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング