「はい。大変なことになりました。怪漢はやがてこっちへやって来るかもしれません。提督、どうか奥へおはいり下さい」
「うむ、――」と、提督は、後退りしながら、はっとした思いいれで、
「おお、お前は誰か」
「私は――」
「お前は怪我をしているじゃないか。胸のところが、血で真赤だぞ。お前はそれに気がつかんのか。おや、右の腕も――」
「リット提督閣下。御心配くだすって、なんとも恐れいります。が、まあ中へおはいり下さい」
 かの血まみれの下士官は、提督につづいて、ひらりと室内へはいった。そして扉をぴたりと閉めた。そのとき提督は、かの下士官が、なにか棒切のようなものを、後にさげているのを認めた。それは室内にはいって、電灯の光を反射して、きらりと閃いた。
「うむ、お前は――」
 提督は、驚きのあまり、言葉を途中でのんだ。そして顔面蒼白!
 この下士官こそ、誰あろう、われ等が大勇士、川上機関大尉、その人であったのだ。


   巨人対巨人


 リット提督対川上機関大尉!
 巨人と巨人との、息づまるような対面だ。飛行島は、まだ何事も知らず、闇夜の嵐のなかをついて、囂々《ごうごう》と北東へ驀進《ばくし
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