へたへたと足許に崩れるようにのびたのを見れば、これも下士官だった。なんと弱い奴ばかりではないか。
(そうだ。杉田の用に、この下士官の服をもらってゆこう)
 川上機関大尉は、また相手の服をぬがせにかかった。
 ところが、この相手はなかなか手強い奴だった。彼は人事不省を装っていたのだ。だから川上機関大尉のちょっとの油断をみすますなり、隠しもっていた呼笛を口にあてて、ぴーいと一声高く、乗組員に急をつげた。
「うむ、やったな!」
 川上機関大尉は、電気にかかったようにとびあがった。そこへつけこんで、相手の巨漢は、むずと組みついてきた。
 川上機関大尉は、舷に押しつけられてしまった。大した力の相手だった。川上は懸命に、相手の胸許にこっちの頭をつけて、押し潰されまいと耐えているが、相手は勝ち誇ったように、いよいよぐんぐん押しつける。
 川上機関大尉の武運は、眼に見えて悪くなった。そうでなくとも、ここ連日の苦闘と空腹とに、かなり疲れている川上機関大尉だった。はりきった牡牛のような英国下士官とは、とてもまともな力くらべはできまいと思われた。
 そのとき、向こうの方で、あわただしく集合|喇叭《ラッパ
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