人は、汽船ブルー・チャイナ号の左前方に、ほほ並行の進路を保って、六隻からなる駆逐艦隊の明りが走ってゆくのを見たであろう。そして、それは英国海軍に属する警備駆逐戦隊だと思ったであろう。それもまた、まさしくそのとおりであった。
 空と海とからして、汽船ブルー・チャイナ号は護衛されて安全なる航海をつづけているのだ――と思ったであろう。
 だが次の瞬間、到底信じられないことが突発した。
 甲板上の灯火が、暗い海を船のまわりだけを、ほの明るく照らしていたが、その光の中に、突然|海豚《いるか》の群のようにきらきら光る銀色の魚雷が群をなして船側目がけてとびこんだ――と思ったら、次の瞬間、天地も裂けとぶような大爆発が船内にひびきわたり、汽船は吹きとぶような大衝動をうけた。
「な、なに故の、味方の攻撃か」
 といぶかる暇もなく、こんどは甲板の上へ爆弾の雨!
 どどん、どどん。
 がーん、がーん、がーん。
 たちまち起る地獄変の絵巻――船体は火の嵐に吹きちぎられて、みる間に、どろどろと怒れる波間に吸いこまれてゆく。
 到底筆紙に書きあらわせない暗夜海上の大惨劇であった。
 生存者は幾人あるだろう。おそらく
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