トの浮函の中に造ってあった。そこは水面よりはるかの下になっているので、海底牢獄の名がついているのだ。当時、その中に放りこまれている囚人は五、六十人あった。多くは建設役人の命令に反抗した中国人や印度人であった。
「え、脱獄したって」
と分隊長フランクが聞きかえすと、ケント兵曹は、
「そうです。私が倉庫エレベーターで下へおりようとしましたところ、エレベーターの綱条《ロープ》につかまって脱獄囚が下からどやどやと上ってきたのにはおどろきました」
「綱条《ロープ》につかまって上るなんて、そんなことができてたまるか」
「でも、嘘じゃありません。ほら、彼奴等がやってきました。足音がします。あそこをごらんなさい」
その言葉のしたに、エンジンの奥から、うわーっととびだしてきたのは、印度人の一団であった。奥が暗いので、まるでシャツとズボンが攻めよせてきたように見える。
「あ、とうとうやってきたな」
先頭の印度人は、監守をなぐり殺したらしい血染の鉄棒をふりかぶって、フランク大尉に肉薄する。
「仇敵、英国人め。圧政にくるしむわが印度同胞のうらみを知れ!」
「な、なにを――」
だーん!
フランクはつい
前へ
次へ
全258ページ中194ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング