の漁夫は、試運転からかえって前夜と同じ場所にやすんでいる飛行島を見て、それがシンガポールの近くまで航行したなどとは、夢にも気がつかないであろう。
検閲点呼の号令は、もちろん、飛行島にもっとも近い護衛艦である警備潜水艦隊にも通達された。
それはリリー、ローズ、パンジー、オブコニカ、シクラメンという、花の名のついた警備第六潜水艦隊における出来ごとだった。
旗艦リリー号は、後続の僚艦四隻に直々、検閲点呼の号令を無電でしらせた。
各艦では、そのしらせをうけると、いちはやく水兵を檣《マスト》の上にかけあがらせて、藍色灯をつけさせた。この藍色灯は、検閲点呼の標《しるし》であった。殿《しんがり》艦のシクラメンでは、ジャックという水兵がちょうど当番であったので、命令一下、藍色灯を片手にぶらさげるが早いか、猿《ましら》のように梯子づたいに檣の上へとんとんとかけ上ったものである。
彼は、なんの苦もなく藍色灯を檣につけた。潜水艦の檣なんて、ほんの申しわけのように低いものであったが、彼はそれを下りようとして、おやといぶかった。
「おや、本艦は殿艦のはずだとおもったが、ちがったかな」
椿事《
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