わずか、あと四つの数だ!
ピルトルの引金を握りしめた右手から油汗がにじみ出した。
轟々たるエンジンの唸は、室内をゆりうごかして、一段とものすごい。
「――七《なな》、八《や》ア、九《こ》ノ……」
あっ、のこりの数は、もうあと一つ!
そのとき突然、高声器が大きな声を発した。
「二十五ノットに、スピードを上げい!」
司令塔からの号令だ。
「はい、二十五ノットに上げまあす」
川上機関大尉は、一秒のおくれもなく、伝声管のなかに復誦した。そしてただちに給油|弁《バルブ》を開くために、ハンドルをぐるぐる廻しはじめた。
(十《とお》オ!)
と、最後の数字をかぞえようとして、フランク大尉は、それを喉の奥にのみこんだ。すっかり気を奪われたのであろう。ピストルの銃口だけは、川上機関大尉の方に向いているが、引金にあたっている指にはもう力がはいっていない。
気が臆したフランク分隊長は、こうなればもう銅像みたいなものだった。
「はい、二十五ノット、よろしい。エンジンはいずれも快調です。異常変動、全くみとめられず!」
川上機関大尉の声は、いよいよ冴えた。
その声がフランク大尉の鼓膜をうつと、彼
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