逃げだしたとき、二万ポンドの懸賞犯人だからと思い、すぐ追っかけたといったね」
「そうですとも。わしは……」
「ばか! 窓から逃げだしたときには、まだ懸賞の話はきめていなかったわい。これでもまだ白いの黒いのとほざきおるか」
「うへー」
というわけで、途中まで本物の川上機関大尉かと思った捕物第一号も、哀《あわれ》たちまち偽物であることが露見した。
こういう面倒な取調が、次から次へとつづいていった。たいへんな手間であった。
恐怖の命令
カワカミ容疑者連の取調の方は、ずっと慎重にとりはこばれていた。
この方の鑑定委員は八名の中国人があたっていた。
取調の箇条は五つあった。それは、いずれも日本通と自称する八名の中国人委員が、智恵をしぼって考えだしたもので、それによると、この飛行島には、川上以外に一人の日本人もいない筈だから、一人の日本人をさがし出せば、それが川上だというのであった。
では、その日本人を探し出す五つの箇条とは、一たいどんなことであったか。――赤札の第一号のカワカミ氏は、ばかに鄭重に風呂場へみちびかれた。
すこし面喰いながら風呂に入ると、男がきてしきりに体
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