花活《はないけ》を床の上につき落して壊してしまった。水がざあっと看護婦の白い制服にひっかかって、たいへんなことになった。
「あっ、あっ、あっ、これこのとおり、私、いくらでも弁償します。お嬢さん、ゆるしてください」
中国人の硝子屋はしきりとあやまる。
看護婦は、あまりのことに呆れて声もでないという風であったが、やがてつかつかと中国人のそばに寄ると見るまに、平手で彼の頬をぴしゃりとひっぱたいて、すたすたと部屋を出ていってしまった。
中国人の硝子屋は、怒るか泣くかするかとおもいのほか、にやと笑った。意外、流暢な日本語で、
「うふふふ、俺の頬っぺたをうったんじゃ、手の方がいたかったろう」
といった。ベッドの上の杉田二等水兵は、あっといったきり眼を皿のようにして怪中国人の顔をみつめたのも尤もであった。
この怪しい硝子屋の正体は、そもなに者であろう――いうまでもなく、さきに梨花としめし合わせておいたわれ等の勇士川上機関大尉の巧みな変装であったのだ。
「おお、あなたは。――」
とベッドの上におきあがろうとする感激の杉田二等水兵!
川上機関大尉は、それを制して、硝子板をそこへおくと、いそ
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