なら、わがソ連政府はユダヤ人で組織せられているし、また貴国の政治はユダヤ人の金の力によって支配せられているのであるから、早くいえば、本家の兄と、そして養子にいった弟との関係みたいに切っても切れない血族なのですからねえ」
この会話でもって察せられるように、英国はついにソ連を仲間にひき入れ、日本の前に武器をもって立ったのであった。
ことがここまではこぶまでには、英国はずいぶんいろいろの策略をつかったが、殊に横須賀における日本少年の英国水兵殺害事件は、対日戦を起すのに一番都合のよい口実となった。しかしそれはどこまでも口実なのであって、対日戦の根源ははるか日中戦争にあった。いや、それよりももっと前、英国系のユダヤ財閥が、日本追い出しの陰謀を秘めて、中国を植民地化するために四億ポンドという沢山の資本をおろしたときにはじまったというのがほんとうであろう。
ついにこの日、五月十七日!
ここにわが帝国は、北と南との両方から、世界一の陸空軍国と、世界一の海空軍国との協同大攻撃をうけることとなった。
もちろん宣戦布告などのことはなく、英ソ両国の精鋭軍団は、一方的に軍事行動を起したのであった。
ああ危いかな大日本帝国!
懐中ひそかに、恐るべき武器を忍ばせ、なにくわぬ顔して近づいてくる仮面の善隣を、はたしてわが帝国は見破ることができるかどうであろうか。
軽旅客機が、ハバノフ大使とガーリン将軍をのせ、爆音高く朝日匂う大空にまいあがり、いずこともなく姿を消すと、それにつづいて飛行島内には、嚠喨《りゅうりょう》たる喇叭《ラッパ》が、隅から隅までひびきわたった。
渡洋作戦第九号による出航準備だ!
いよいよ極東の戦雲は、一陣の疾風にうちのって、動きだしたのである。
飛行島出動
飛行島は、俄然活気をおびた。
まだ収容しつくさなかった爆撃機や戦闘機などが、シンガポールから海を越えて続々と到着し、飛行甲板にまい下りた。中には飛行池に着水する水上機もあった。総出の整備員は、汗だくだくの大童《おおわらわ》となって、新着の飛行機をエレベーターにのせ、それぞれの格納庫へおろした。
弾薬庫は開かれ、二十インチ砲弾をはじめ数々の砲弾が、それぞれの砲塔へおくりやすいように、改めて並べかえられた。
甲板や舷側から、戦闘に不用なものは、ことごとく取除かれた。
室内においても、不用
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