、急げ!」
甲板上では、飛行班の指揮者が呶鳴っている。
と、その時左舷の方にあたって、眼もくらむような大閃光と同時に艦橋も檣も火の海!
だだだーん、がががーん。
ひゅうひゅうひゅう。ざざざざっ。
天も海もひっくりかえるような大音響だ。
「空爆だ!」
「作業、急げ!」
「総員、波に気をつけ!」
大きなうねりが、艦尾から滝のように襲いかかってきた。
艦橋も檣《マスト》も起重機も、そして艦載機も、その激浪にのまれてしまったかと思われた。二千トンの潜水艦が、木の葉のようにゆれる。
「作業、急げ!」
この騒ぎの中に落ちついた号令がたのもしく聞えた。
水原少佐は全身ずぶぬれになったことも知らぬ気に繋留作業をみつめている。
いま爆弾を落した敵機群がどこにいるのか、知らぬといった顔であった。
がらがらがら、がらがらがらと、鎖は甲板を走る。号笛《パイプ》がぴいぴいと鳴る。
「よし、うまくいった。そこで一、二、三」
ついに艦載機はうまく格納庫に入った。
鉄扉は左右から固くとじられた。
たたたたたっと、作業をおえて甲板を走ってかえる飛行班の兵員たち。
天佑であったか、爆撃下の難作業は見事に成功したのだった。
艦長は、はじめてにこりと笑って、爆音しきりにきこえる暗空を見上げた。そして、「急ぎ潜航用意、総員艦内に下れ!」
と号令した。
まことに水ぎわ立った引揚であった。
甲板からも、艦橋からも、人影が消えた。艦はすでに波間にぐんぐん沈下しつつある。
嚇かしのように、こんどは艦首はるか向こうに爆弾が落ちて、はげしい閃光と、見上げるように背の高い水柱と、硝煙と大音響と波浪が起きたけれど、わが潜水艦はまるでそれに気がつかないかのように、黒鯨のようなその大きな艦体をしずかにしずかに波間に没しさったのであった。
壊れた窓硝子
飛行島の鋼鉄宮殿の中。
そこは重傷の杉田二等水兵がベッドに横たわっている病室であったが、入口の扉《ドア》を背に、可憐な梨花がしくしく泣いている。
「梨花。こんなたいへんなことをしでかして、お前どう詫びますか」
と、かんかんになって怒っているのは、白人の看護婦だった。見れば、病室の大きな窓硝子《まどガラス》が二枚も、めちゃめちゃに壊れている。
床の上には、雑巾棒がながながと横たわっている。
白人看護婦に叱りつけられて、
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