。しかしじゃ、わしのように十五もの会社の重役をしている忙《いそが》しさでは、そんなことは到底出来べきではないのじゃ。」
小僧「そんなことはございません。たっぷりお有りですよ。」
重役「ないッ! 忙しいのを知らんか、君は。」
小僧「では申上げましょう。先生は毎晩お寝《やす》みになりますが、あのときは何かお仕事をなさいますか。無論なさらないで、ながながと伸びていらっしゃいましょう。私の申すのは、あの時間です。すくなくとも五六時間は有りましょう。……そこであの紫外線発生装置をベッドに仕掛けて置くのでございますよ。特別のベッドですが、これを用いてお寝みになりますと、毎晩、適当の時間に紫外線が身体に当って、知らず知らずのうちにお丈夫になるし、時間も損をしないというので……。」
重役「ウウン、そいつはいい考えじゃ。よオし、その紫外線発生ベッドというのを買おうじゃないか。一台いくらじゃ。」
小僧「へえへえ、どうも有難うございます。……エエ少々お高くて、一台二百円でございます。」
重役「二百円で、人生六十からナラ安い、よオし、至急十五台ほど持って来てくれ。」
小僧「十五台? そんなに、どうなさいますん
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