ば、今までの十分の一の時間で配達が出来ます。」
逓相「法螺《ほら》を吹くなよ。」
小僧「本当ですよ、法螺じゃありません。つまりハガキにこの鉄の切手を貼りますネ。それを配達するときは、〒やサンがサイドカー付きのオートバイで配ってまわる。しかもその車には機関銃式郵便物|射出器《しゃしゅつき》というのがついているのです。引金をグッと引けば、往来に居ながら、遥か向うの戸口まで、郵便物が射出《いだ》されて飛んでゆくのです。」
逓相「機関銃式とは考えたナ。しかし郵便物が戸口に当って、バラバラ下へ落ちるのではサービス問題をひきおこすから困る。雨の日など、折角《せっかく》ターキーが送ったブロマイドが泥だらけじゃ、申訳ない。若い女の子に恨《うら》まれては、ワシャ辛《つら》い。」
小僧「なに大丈夫ですよ。戸口には磁石式郵便受を附けるのです。大きな磁石がブラ下っているのです。配達車から射出されたハガキは、鉄の切手が貼ってあるから、戸口へ飛んでゆくとピシリピシリと、この磁石に吸いつけられて、下には落ちんです、この方式によれば、上海《シャンハイ》の市街戦のように超スピードで……。」
逓相「オイ誰か。この方のおで
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