だと称するニーナ嬢をつれて、日本へ渡ることになったのだ。
 ここまでいえば、誰にも分るだろうが、彼ターネフ首領こそ、派遣される国では、まことにゆだんのならない人物なのである。同伴のニーナ嬢についても、また語るべき別の話があるが、とにかく美しき彼女も、ただ者ではない。それは、ことさらここにことわるまでもあるまい。
 あぶない、あぶない。このようなおそるべき人物が、虫一つ殺さぬ顔をして、ぞくぞくと日本へのりこんでくるのであった。彼らはこれから一体、なにを始めようとするのであろうか。まことに気味のわるい話である。
 雷洋丸の遭難によって、船内におこったかずかずの怪事件は、疑問をのこして、一時あずかりとなった。
 房枝は、幸いにボートにのりこむことができた。そして救助にのりつけた汽船のうえにうつされ、ぶじ横浜に上陸することができた。
 ターネフとニーナは、いつの間にか、自国の汽船にすくいあげられ、これもぶじに、横浜上陸となった。
 帆村探偵は、どうしたであろうか。彼は、最後まで、船にふみとどまっていたため、雷洋丸が、艫《とも》を真上にして沈没したのちは、海中へなげだされ、暗い海を、板切《いたき
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