。肩のところを銃弾でうたれ、ほんのちょっとの間、気をうしなっていたのだ。
「大丈夫だ、おれは」と、彼は肩をおさえて立ち上った。
「ピストルをうった奴をさがしだせ。その窓からうったのだ」
 といって、彼は、あたりをふしぎそうに見まわしていたが、
「おや、船長、いませんよ」
「いないとは、誰が!」
「訊問《じんもん》中の曾呂利が」
「おお、曾呂利君が、銃声がきこえたとたんに、あっと叫んでたおれたのを見たよ。どこか、そのへんに、たおれていないか」
「さあ」
 一等運転士は、船員たちにも命令して、そのへんをさがさせた。
 しかるに、曾呂利本馬の姿は、どこにも発見されなかったのである。
「へんだなあ。どこへいってしまったんだろう」
「うん、たしかに、弾があたって、たおれたのを見たのじゃが」
 たおれた曾呂利本馬、いや帆村探偵の姿は、どこかに、かき消すように失《う》せてしまったのであった。
 そのとき、外が、そうぞうしくなった。しきりに船員がののしっている。
「おい、一等運転士。あれは、どうしたのか」と、船長はあごで外をさした。
 一等運転士は、肩口をおさえたまま、外にとびだした。
 するとそこに
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