ございますの。はあ、大至急でございます。いえ、会社のことではなく、わたくしごとでございますが、いつやら、ちょっとお話しました娘さんのところへ、ただ今、いっておりましたのですが、今日はどういうものか、娘さんのようすがへんなのでございます、なにか、あの娘さんの身の上に、危難があるように感じましたの。道々考えてまいりましたんですが、たいへん気になって、しようがございません。それで、相談にのっていただきたいのでございますが、すぐ宅まで」
 縁《えにし》は、目に見えないが、常に行いのうえにあらわれる。夫人は、何ごとも知らずに、房枝あやうしと感じて、帆村探偵の力をもとめたのであった。

   ネオン・ビル前

 その夜のことだった。
 東京駅の大時計は、すでに午後十一時一、二分、まわっていた。
 そのとき、あたふたと、改札口から駅前へとびだしてきた二人の男女があった。
「やあ、おそくなったぞ。一電車おくれてしまったので、これはもう十一時をすぎてしまった。ねえ房枝、大丈夫だろうか」
「そうねえ」
 その話でわかるように、男は、新興《しんこう》ミマツ曲馬団の新団長黒川であり、また女は、花形《はながた》
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