たくさんつんであります。
「おうい、ミドリちゃんはいないか」
高一は、早口に妹の名をよんでみました。
そのとき、つみかさねてあった荷物が、がさがさとうごきだしました。
「あっ兄ちゃん。あたしはここよ」
帆布《はんぷ》がまるめておいてありましたが、その中から、とつぜん、なつかしい妹ミドリのこえがしたものですから、高一は、
「おお、ミドリちゃん。よくまっていてくれたね。いまたすけてあげるよ」
と、かけよりました。帆布をのけていると、その下にかわいそうなミドリが、手足をくくられてつながれていました。高一は、わる者どもの、にくいやりかたにはらをたてながら、つなをほどいてやりました。そして、きょうだいは、ひさしぶりに、たがいに手と手をとりあったのです。うれしさに、なみだが、あとからあとからわいてきて、きょうだいは、はじめのうちは、おたがいの顔をよく見ることができませんでした。
「ぐずぐずしていてはたいへんだ。ミドリちゃん、すぐ、にげよう」
高一は、妹をひったてるようにして、テントの外にのがれました。そして、電気鳩を砂のなかからほりだし、それを、ゴムびきのかっぱにつつんでわきにかかえまし
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