。さあ、こんどはかわいそうなミドリを、たすけてやらなくてはならない」
日のくれるのをまって、高一はだいたんにも、スパイ団のテントにそろそろしのびよりました。するとテントのなかでは、団長をはじめわる者どもが、お酒をのんで、おおごえでうたったりおどったりしているところでありました。
そのうちに、団長もよろよろとたちあがって、手をふり、足をふんで、おどりだしましたが、かたにかけている小さなかばんが、ぶらぶらするので、じゃまになって、うまくおどれません。
「いよう、団長しっかり。そんなきたないかばんなんか、おろしておどれよ。あっはっはっ」
たれかが、ばかにしたような笑いかたをしました。団長は目をむいて、
「ばかをいえ。きたなくても、この中には、電気鳩をうごかす大事なきかいがはいっているのだぞ。どうしておろせるものか」
電気鳩をうごかすきかい! ああ、そんなきかいがあったのか。電気鳩は、このかばんをもっているスパイ団長の手によってうごかされていたのです。高一は、テントのすきまから、目をまるくしておどろきました。
「電気鳩は、海のそこにしずんでしまったんだよ。うごかすきかいばかりのこってい
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