。早くしないと、沖に見はっている日本の軍艦にしずめられちゃこまる」
「だって、電気鳩がまさかこんな船ぞこまでとんでくるものですか」
「やかましいやい。お前がぼんやりしているから、こんなことになるんだ」
そのうちに、どうんと大砲の音です。
「さあ、日本の軍艦がうったぞ。船をとめろというあいずだ。すぐ電気鳩をさがさないと、ほんとうにうたれるぞ」
そういうこえは、たしかにあのにくいスパイ団長のこえです。
どうやら電気鳩がにげたようすです。そしてこの汽船は、日本の軍艦においかけられているらしいのです。
高一はそれを知って、胸をおどらせました。近くの海を見はっている日本の軍艦が、このあやしい船をみつけてきてくれれば、きっと助かるにちがいない。
しかし、その前に日本の軍艦の砲弾が、この汽船にうまく命中すれば、高一はたるとともに、海ぞこふかくしずんでしまわねばなりません。どどうんどどうんと、砲声はいよいよ近づいてきます。さあどうなる。たいへんたいへん。
ながれるたる
高一少年をさらってゆく外国の貨物船が、いましきりに日本の軍艦から砲撃されています。
高一は、伝書鳩アシガラ
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