しました。
「どこへつれられてゆくんだろう。ミドリは、どうしているんだろう」
と、高一は、たるのなかにゆられながら、それを考えていました。
一|粁《キロ》も車が走ったかとおもうころ、車のうえがさわがしくなりました。
「おや、あの犬は、この車をおっかけてくるんじゃないか」
「うん、小僧がいるのをかぎつけたんだ」
「めんどうだ。ピストルでうってしまえ」
「まてっ、ピストルの音をきかれたらどうするのだ。石ころをなげつけてやれ」
えいえいと、石ころをなげるこえがします。
わわわわ、わんわん、とはげしい犬のなきごえが、車をおってきます。
「あっ、あのこえはマルじゃないか」
忠犬マルは、一生けんめいに、高一をさらってゆくトラックをおいかけてくるのでありました。
どうして、それを知ったのでしょう。そのわけは、鳩のハグロが、マルを案内して、ここまでおいかけてきたのです。
わわわわ、わんわん。
「石ころじゃだめだ。電気鳩をだそう」
「よし、電気鳩だ」
スパイ団長は、ついにおそろしい電気鳩をぱっとはなしました。
高一は、それをきいておどろきました。
きゃ、きゃんきゃんきゃん。
まもな
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