ずです。はやく助けて……」
「ばんざあい」
と、大きなこえがおこりました。どうなったかと心配していた高一少年や、高一のお父さまで、お国のためはたらいている秋山技師の二人を助けだすことができたし、そのうえスパイ団のわる者も、おおぜいつかまえることができたのですから、大手がらでした。
「へんだなあ――」
良太おじさんが、首をかしげました。
「なにがへんなのですか」
「だって、電気鳩が、このほら穴にとびこむところをみたのに、いまこうしてさがしてみてもいないじゃないか」
「おかしいね。これはどうやら、ほかにぬけ道があるらしいぞ」
にげた団長
「おじさん。お父さまをくるしめていたスパイ団の団長がみえないよ」
と、高一少年がさけびました。
「なに団長が……。うむ、いよいよぬけ道があることにきまった。さあ、さがすんだ」
そのとき愛犬マルは、なにおもったか耳をぴんとたて、かたわらのおおきい岩のうえにとびあがり、そのむこうにすがたをけしました。まもなく、わんわんとマルのほえるこえ!
「それ、ぬけ穴だっ」
と、みなのものも岩をとびこえてみると、なるほど下につづいたぬけ道がありました
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