じゃ。お前は血迷ったか」
「では、やはり、私は、それを申上げない方が、よろしゅうございました」
「な、なんという」
 大総督の顔から、笑いの影が消えた。彼は、急に、頭を手でおさえた。
「おい、ハヤブサ、早くいえ。なぜ、早く、その先を説明しないか」
「はい、申上げます。失礼ながら、トマト姫さまは、実に恐るべき魔力をお持ちであります。この前、キンギン国の女大使ゴールド女史が、精巧な秘密無電機を仕掛けた偽眼《ぎがん》を嵌《は》めて居ることを発見なされたのも、そのトマト姫さまでございました。そのとき以来、私は、トマト姫さまの御行動を、それとなく監視――いや御注意申上げていましたところ、かずかずのふしぎなことがございました」
「ふしぎ? そのふしぎとは、何だ。早く、先をいえ」
「或る日のこと、姫のお後について、州立科学研究所の廊下を歩いていますと……」
「おいおい、わしの姫が、そんなところを歩くものか、いい加減なことをいうな」
「いえ、事実でございます。――ところが、部屋の中で、所員の愕くこえを耳にいたしました。“あっ、計器の指針がとんでしまった、なぜだろう”」
「なんだ、それは……」
「つまり
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