設けられていることは全く知らなかった。また、要塞に働いている兵士たちの多くも、マイカ大要塞の正しい位置を知らなかった。
 要するに、このマイカ大要塞こそは、かねがね太青洋方面から侵入してくる虞《おそれ》のある敵国に対し、難攻不落の前衛根拠地として、建造されていたものであった。そこには、キンギン国の巨大なる財力をもって金にあかして作ったかずかずの兵器が、かくされてあった。
 ラック大将は、地下要塞の司令塔の中に入って、早速《さっそく》手配をして失踪《しっそう》を伝えられる渡洋潜水艦隊の捜査を開始した。
 ところが、待てども、なんらの有力な報告は入ってこなかった。
「どうしたのか。もうたっぷり二時間になるのに、わが捜査隊は、一体なにをしているのか」
 大将は、栄誉ある位置におかれた最初の手柄をたてようとして、たいへん焦《あせ》りぬいていたが、なかなか思わしい報告が入って来ない。
 そのうちに、三時間は経過し、やがて四時間が空費されようとしたときにとつぜん一隻の潜水艦が、マイカ大要塞の海門をまもる海中|哨戒線《しょうかいせん》にひっかかったというので、大さわぎとはなった。


   怪艦の正
前へ 次へ
全75ページ中52ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング