憤慨して、
「さあ、それではゴールド大使。キンギン国内における軍隊の動きについて、貴下の集められた情勢を、われわれに詳しく話していただきたい」
「はい、では申上げましょう。まずわが密偵の一人は……」
 と、ゴールド女史は、長々しい報告を喋りはじめた。
 元帥は、チューインガムを、くちゃくちゃ噛《か》みつつ、女史の報告に耳を傾けていたが、それから間もなく、彼はどうしたものか、うんといって、両手で虚空をつかむと、その場に悶絶《もんぜつ》してしまった。
 不思議な死に様《よう》だった!
 元帥の心臓は、ぱたりと停《とま》り、身体は、どんどん冷えていった。
 その頃、この室内には、さらに奇怪なことが起った。それは、元帥が、さっきから目の前に睨んでいたたくさんの将軍や参謀たちの作り首が、まるでうしろから槌《つち》で殴《なぐ》りつけたように、階段の上で、ごとごとばたんばたんと、しきりに前に倒れ、そして転がるのであった。そして五分とたたない間に、只一つ、リウサン参謀の作り首だけが、きちんと立って、残っているだけで、他の作り首は、悉く倒れてしまったではないか。
 一体どうしたのであろう。
 警鈴《ベル
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