ンリン大帝から、彼は叱《しか》られているところを夢みていたのだ。
(けしからんじゃないか、スターベア。女大使ゴールドなんぞに、さかねじを喰うとは、なんだ。太青洋は、両国の共有物で、緩衝地帯などとは、けしからん約束手形だ。アカグマ国の今後の活動が制限されて、困るじゃないか!)
(へいへい、ワシリンリン大帝陛下。あれは口から出まかせでございまする。ああでも申しませぬと、折角の大祝典が、めちゃめちゃになってしまいますので巧言をもって、女大使めをうちとりましたようなわけでございまする。ごらんなされませ、あのように申しておきましたので女大使めは、わが国が太青洋を侵す意志がないとの秘密電話を、大統領にかけましたようでございます。その隙をうかがい、近いうちに、必ずキンギン国を、ばっさりと……)
(おいおい、そううまくいくかね。どうも貴様は、大言壮語するくせがあっていかん。おい、本当に、自信があるのか。おい、おい)
そこで大総督は夢からさめた。
「もしもし、もしもし」
誰かが、大総督の服をうしろから、しきりと、ひっぱっている。
大総督は、びっくりして、うしろをふりかえった。
すると、椅子の蔭に
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