ろうかと、いろいろ考えつづけた。
そのうちに、歩きくたびれて、青二は小公園のベンチに腰をおろした。
おなかもすいたので、包《つつみ》をあけて、パンを取出してたべた。びんにつめていた水をのんだ。おなかのすいたのが少しなおり、のどのかわきがとまった。
だが、青二はかなしくなった。
「この次の食事から、自分で買って、たべなくてはならない。お金はすこしあるが、一日二日たてば、それもなくなるだろう。それから先はどうしたらいいのだろう」
青二はうちへもどろうかと考えた。
「いやいや、こんな化け物みたいなからだを持って帰ったら、お母さんがなげきかなしむばかりだ。どんなにうちがこいしくても、自分はうちへかえれないのだ」
ぽたぽたとあつい涙が青二のほおをつたって、膝のうえへ落ちた。
「おい坊や。なにをそんなにふさいでいるんだい」とつぜん声を青二にかけた者がいた。
青二はびっくりして顔をあげた。するとそこには一人の青年が立っていた。ダブルの背広を着、頭髪をながくのばして、きれいに分けた紳士風の青年だった。しかし服装の小ぎれいなわりに、顔はやけトタンのようにでこぼこし、四角な頬《ほほ》には、にき
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