る奇妙な方法を考えつきました。
「はははは、これなら、きっとうまくいく」
「なかなかおもしろい方法ですね」
「いや、考えてみれば、やっぱり方法があるものですねえ」
 三人は、たいへん、うれしそうでありました。その喜んでいるありさまから見ると、豆潜水艇をぬすみだすのになかなかいい方法を考えついたようです。いったいそれは、どんな方法であったか、それはしばらくおあずかりにしておくことにしましょう。
 それから、十日ほどすぎました。そこで話は、造船所のすみにころがっている豆潜水艇のことになります。
 この潜水艇は、すっかり出来あがっていました。艇内には、すでに食べものや、水や、ハンモックなどもつみこまれ、いつでも出かけられるようになっていました。ただ、この豆潜水艇は、まだ台のうえにのっています。艇の下をささえているくさびをはずせば、この潜水艇は、台の上をよこすべりして、ぼちゃんと海へおちて、うかぶようになっていました。つまり、あとは進水式だけがのこっていたのです。
 進水式のことを、青木学士も春夫少年も、どんなにか、待ちこがれていました。豆潜水艇は、進水をすませると、そのまま港を出かけることに
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