と、春夫少年が思っていると、下士官たちに命じて、二人の前後をまもらせ、前へ進めと、あるかせました。
どこへつれていかれるのでしょうか。
砂地のうえをすこしばかりあるいていくと、地下室の入口のようなものが見えてきました。
「ここからおりるんだ」
下士官は、先に下りました。
春夫たちも、そのあとについて、階段をおりていきました。
おりたところは、天井の低い、ちょうど軍艦や汽船の中と似たようなところでありました。このとき春夫は、足の下から、かすかではあるが、ごっとんごっとんと、エンジンが廻っているらしい震動が、ひびいてくるのを感じました。
「一体ここは、どこだろうか?」
春夫には、そのなぞをとくことが、たのしみになってきました。もしもこのとき春夫が、おどろいたり、あわてたりしていたら、このかすかなエンジンの音などは、もちろんききのがしたことでありましょう。
やがて青木学士と春夫とは、ある一室へつれこまれました。そこは、天井こそ低いけれど、たいへんぜいたくなかざりのある部屋でありました。正面には、りっぱな机があり、ふかふかした肘《ひじ》かけ椅子《いす》が一つおいてありましたが、そ
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