りょ》みたいな目にあわされるのじゃない? そんなの、いやだなあ」
と、春夫は口蓋をあけるのをいやがりました。
「でも、しかたがないよ。ここは、そういうことにして、またなにかいいことを考えるよ。艇がこわされては、それこそどうすることもできない」
青木学士の顔は、くるしそうに見えました。そして春夫に代って、ついに口蓋をあけました。
とたんに、上から軽機関銃の口が、ぬっとこっちをのぞきこんだではありませんか。
「出ろ。抵抗すると撃ち殺すぞ」
英語で命令です。
青木学士も、むっとするし、春夫少年も、その様子をさとってしゃくにさわりました。
でも、どうすることもできないので、青木学士は春夫をうながして、昇降口をのぼり、とうとう豆潜水艇から外に出ました。
「おとなしくしているんだぞ。抵抗すると、一撃《ひとうち》だ」
いつの間にあつまったか、そういって号令をかけている目の青い下士官のほかに、武装をしたアメリカ水兵が六人ばかり、二人をとりまきました。
春夫は、べつにおそろしいとも、なんとも思いませんでした。日本の水兵さんにくらべると、アメリカの水兵なんか、たいへんだらしないものに見えま
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