あたり前の島でないというと、どんな島?」
「それが、どうもへんなのだ。外国の水兵が立って番をしているんだ。しかも服装から見ると、アメリカの水兵なんだ。おどろくのもむりではないじゃないか」
 青木学士は、ようやくあたり前にお話ができるようになりました。
「なんです、アメリカの水兵ぐらい。ちっとも、こわいことはないや」
「それはそうだけれど、その水兵はものものしく武装をしているのだよ。つけ剣をした銃をもっていた。防毒面をかぶっていた。おかしいではないか。日本の領土から、それほどとおくないところに、アメリカの水兵が、こんなものものしい姿をして番に立っている島があるのは、ふしぎすぎる話じゃないか」
 青木学士にそういわれてみると、なるほどふしぎでもあり、へんです。日本の海岸をはなれて、船足《ふなあし》で、わずか二日か三日ぐらいのところに、そんな島があるとは、おかしな話です。
「グアム島じゃないかしら」
 と、春夫少年が、思い出していいました。
「いいや、ちがう。グアム島へいくのには、もっと日数《ひかず》がかかるはずだ」
 青木学士が、うちけしました。グアム島でないとすると、いよいよこれはふしぎ
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