年にやすむようすすめました。
「じゃあねますが、この豆潜水艇に、なにかかわったことがあれば、すぐおこしてくださいね。ぼくだって、これでなかなか役にたちますよ。航海のことは、海洋少年団にいたとき、一通りならったのですからね」
「わかったわかった。早くねたまえ」
そこで春夫少年は、すこしきゅうくつですが、防毒面をかぶったまま、きかいときかいの間に毛布をしいて、その中にもぐりこみました。やがて、その日のつかれが一度に出て、春夫は大きないびきをかいて、ねむってしまいました。
青木学士は、そのありさまを、にこにこわらいながら見ていましたが、春夫がすっかりねむってしまうと、彼はひとりで配電盤《はいでんばん》の前にたち、受話器を頭にかけ、水中|聴音機《ちょうおんき》のスウィッチを入れました。そして目盛盤《めもりばん》をしきりに右に左にまわしてみながら、なにごとかをうかがっているようでありました。その顔は、しんけんに見えました。
しばらくして、学士が、ほっとためいきをつくのがきこえました。
「もう、よかろう。エデン号は、よほど向うにはなれているから……」
学士は、別のスウィッチを入れました。す
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