銃を忘れたといって、あんがいへいきでいるのである。
春夫は、あきれた。
「そんなものをわすれてきては、こまりますね。ほかに、武器はあるんですか」
「かくべつ武器と名のつくものはないよ。しかし、敵が向ってきても、またなんとかうまくあしらってやるよ」
「銃も刀ももたないで、敵に向うなんて、らんぼうじゃありませんか」
「そうだ。ちょっとらんぼうらしいね。あははは」
青木学士は、べつにおどろいた風でもなく、なぜか、からからとわらいました。
豆潜水艇は、どこへいく?
次ぎの日に、海上において、おどろくべき事件がおころうとは、春夫はもちろん、青木学士さえも、しらなかったのでありました。
ねむりにつく
「春夫君。君はもうねたまえ」
と、青木学士がいいました。
「まだねむくありませんよ。それにこの豆潜水艇には、まだいろいろ用事がのこっているのでしょう。ぼくも手つだいますよ」
春夫少年は、防毒面の中から、二つの目をくるくるうごかして言いました。
「いや、君はねたまえ。明日になったら、また、うんとはたらいてもらう用事ができるから、今夜はもうねたまえ」
青木学士が、しきりに春夫少
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