とポンプとが一しょにまわっている音でありました。
 水上春夫君と青木学士は、どこにいるのでしょうか。
 あ、いました。二人は、豆潜水艇の舳《とも》に近いかべに、いもりのように、へばりついているのでした。
「青木さん。海のそこは、きれいですね」
「ああ、きれいだよ。しかし春夫君。今は、きれいだなあなんて、かんしんしていてはこまるよ。できるだけ早く、ここをはなれないといけないのだ。これで、あたりの海のそこのようすは、だいたいわかったから、すぐに艇をうごかそう。さあ、君も手つだいたまえ」
「ええ、こうなったら、どんなことでもやりますよ」
「では、もう外のあかりをけすよ」
 スウィッチの切れる音がしました。そしてさっきからうしろ向きになっていた二人は、かべからはなれて、こっちを向きました。
 二人は、防毒面をかぶっていました。


   かたむき直し


「右舷《うげん》メインタンク、排水用意!」
「用意よろしい」
「ほんとかね。弁は開いてあるかね」
「大丈夫ですよ、青木さん。もっとしっかり号令をかけてよ」
「よし。それじゃ、やるよ。……圧搾《あっさく》空気送り方、用意。用意、よろしい。圧搾空
前へ 次へ
全44ページ中17ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング