たくなっており、いま海のそこにねていることにも気がつかないのではないでしょうか。ところが、そのときです。とつぜん豆潜水艇が、ぱっと黄色い二つの目をひらきました。
いや、それは本当の目ではありませんでした。それは豆潜水艇の横腹についている、丈夫なガラスをはめた窓《まど》に、あかりがともったのであります。もちろんそのあかりは、艇の中にあるあかりです。窓から外へ、さっとながれだした黄色い光が、すこしずつうごいて、海藻《かいそう》の林をてらしつけます。その間にねむっていた鯛《たい》のようなかたちをした魚の群が、とつぜん、まぶしいあかりにあって、あわてておよぎはじめました。まるで銀の焔《ほのお》がもえあがったようです。あかりは、なおもすこしずつうごいていきます。
はてな、一たいどうして豆潜水艇の中にあかりがともったのでしょうか。
そうなると、豆潜水艇の中を、ちょっとのぞいてみたくなりますね。では、のぞいてみることにしましょう。
豆潜水艇の中は、うすぐらい電灯でてらされていました。
ごっとん、ごっとん、ごっとん。
重い機械がまわっているらしく、かなり大きな音がしています。それはエンジン
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