ののった指揮機が、翼を左右にふった。
「あれッ。あんなことをして、のんきに、遊んでやがる」
 それが指揮機の発した戦闘命令だとも知らず、ピート一等兵は、のんきな解釈をしている。
「戦闘開始。各個にうて!」
 機長が、りんりんたるこえで、号令をくだした。
 すると、全機は、隼《はやぶさ》のように、日本機の編隊のうえにとびかかっていった。ピート一等兵は、びっくりして、機銃にしがみついた。照準をあわせたり、引金をひくどころではない。


   妙な空中戦


「おい、なぜうたないのか。こら、ピート一等兵!」
 機長の、おこったようなこえである。
「はい。今、うちます。しかし機長どの。自分は戦車の銃手はつとめましたが、飛行機の上の射撃はまだ教育をうけておりません。参考書でもあったら、ちょっと……、ここへ放ってください」
「ばかをいえ。今になって、参考書をよんで間にあうか……。あっ、前に、日本機がいるじゃないか。向うがうたないさきに、おいピート一等兵、うて!」
「困ったなあ。うてといわれても、どうしてねらったらいいか、困ってしまうではありませんか」
「照準具がついているじゃないか。それを見て、ね
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