線電話を以《もっ》て、なにか参考になるようなことをいうことが出来るであろう。
 だが、おどろいたのは、パイ軍曹とピート一等兵とであった。沖島速夫の監禁室の前で、二人でいがみあっているところを、急に呼ばれて氷上へ出ると、とたんにおしこむようにして、飛行機にのせられてしまったのである。
 二人は飛行機のうえで、たがいにしっかりつかまってぶるぶるふるえている、だがあいかわらず、口だけはへらない。
「パイ軍曹どの、気分は、どうもありませんか」
「うん。正直なところすこし困っている。なにしろ、おれは地底戦車兵であるが、航空兵ではないのだからなあ。お前はどうか」
「はい、もちろん、自分も軍曹どのと、同じことであります。どうも自分は、スピードの早いものは、にが手なんで……。この飛行機は、落ちませんかな」
「落ちそうだなあ。地底戦車が落ちた場所とちがって、飛行機が落ちれば、われわれの生命はないぞ」
「だから、自分は、戦車の方が好きなんです。ねえ、パイ軍曹どの。一つ指揮官へ無線電話をかけて、われわれ戦車兵を飛行機にのせるのは違法であるから、この五番機だけ、早く元の氷上へかえしてくださいといってくれません
前へ 次へ
全117ページ中97ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング