「どうした。なぜ、うごかさんのか」
 エンジンは、一向かからない。戦車長が、扉をあけて、とびだしてきた。そしておどおどしながら戦車の点検をはじめた。
 リント少将は、にがい顔だ。
 ちょうどそのとき、一同は、飛行機の爆音を耳にした。
「おや、飛行機だ。いや、相当の数だが、どうしたのだろう」
 といっているうちに、とつぜん、氷山の彼方《かなた》から、低空飛行でとびだして来た編隊の飛行機、その数は、およそ十四五機!
「へんだなあ。友軍機なら、この前になにかいってくるはずだ。これは、あやしい。おい、みんな、その場に散れ!」
 と、リント少将は、号令をかけた。
 とつぜん現れたこの怪飛行隊は、どこの飛行隊であろうか。


   怪機の群《むれ》


 リント少将は、後日、人に話をしていうのには、少将の生涯のうちで、そのときほど、おどろいたことはなかったそうである。
 その場に散れ――と、とっさに号令をかけた少将は、派遣軍の中で、一等おちついていたといえるだろう。しかも、その少将が、すっかりきもをつぶしたといっているのだ。
 それもそのはずだった。
 ごうごうと、爆音をあげて、少将たちの頭のうえ
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