われわれを、再び地上に出していただいて、もう一ぺんだけ、陽《ひ》の光や、鳥の飛んでいるところや、それから、酒壜《さかびん》やビフテキまで見られますように、どうぞどうぞお助けください。アーメン」
 二人は、黄いろい幽霊を、神様あつかいにまで、してしまった。
「ふん、そういう気なら、願いは、聞き届けてやる。きっと、今いったことを、忘れるなよ」
「は、決して忘れませぬ。アーメン」
 どこまでも、黄いろい幽霊は、神様あつかいであった。


   快男児|沖島《おきしま》


 この黄いろい幽霊とは、そも、何者であろうか。
 これは、彼の自らいうように、幽霊ではない。そうかといって、アーメンと、あがめたたえられているように、神様の化身でもない。
 沖島速夫《おきしまはやお》――それが、この黄いろい幽霊の本名だった。
 その名で分るとおり、彼は日本人であったのである。そのむかし、彼は、苦学生であって、アメリカで皿洗いをしていた。しかし、だんだん世界の情勢がかわって来て、それまでは、それほどでもなかったアメリカ人が、さかんに日本いじめをやりだした。通商条約を、とつぜんやぶったり、急に石油や器械を売ら
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