が、くるってくるではないか」
と、黄いろい幽霊は、パイ軍曹を、しかりとばした。
そのそばでは、ピート一等兵が、予備のハンドルを握って、ぶるぶるふるえている。
(おれは、ああいう風《ふう》に、ぽんぽん叱りつける幽霊の話を、きいたことがないぞ。南極地方には、かわった幽霊が出ると、豆本《まめほん》かなんかに、書いておいてくれればよかったのに……)
と、ピートは、どこまでも、彼を幽霊だと思っている様子だった。
一体、この黄いろい幽霊は、どこから来たのだろうか。もちろん、本当の幽霊ではない。
その謎は、この黄いろい幽霊が、戦車の隅に大きな袋の中に一ぱいつめた食料品をかくしていることによって、とかれるようだ。あの生々しい林檎は、この黄いろい幽霊が、わざと、床のうえにころがしたものであった。――彼は、密航者だった。
だが、なんと風がわりな密航者よ。わざわざ、南極地方へいく地底戦車の中にしのび入るなんて、ただ者ではない。彼は、一体なにをするつもりか。それはおいおいとわかってくるであろう。
秘密は御存知《ごぞんじ》
「おい、パイ軍曹。もっと地底戦車のスピードをあげろ」
黄いろ
前へ
次へ
全117ページ中54ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
海野 十三 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング